テロメアの短縮速度に影響を与える因子の1つとして、普段食べている食べ物があります。基本的にテロメアに良い影響がある食べ物は、健康に良いと言われる食べ物とほぼ変わらないので、テロメアを短くすると考えられる食事は、健康にあまり良いとされないものと考えて良いと思います。
具体的には、たとえば「動物性タンパク質」である動物性食品や乳製品に含まれる脂質の摂取が多いと、テロメアの短縮につながりやすいと考えられます。これは、肉の脂身に生物蓄積性化合物が多く含まれていることが原因として挙げられています。また、動物性タンパク質は、金属や脂質、糖、ミネラルなど様々な物質が塊になった状態で含まれるため、「植物性タンパク質」とは逆に消化・吸収がスムーズに行われず、腸の中にとどまり続けた状態で酸素と結合し「活性酸素」や「有害物質」が生じることになるので、これもテロメアの短縮に影響を与える一因として考えられています。
* タンパク質には、動物性と植物性の2種類がありますが、動物性タンパク質を含む食品には牛肉、豚肉、鶏肉、卵などがあり、植物性たんぱく質を含む食品には大豆やゴマなどがあります。
それ以外にも、煮たり焼いたりした食材には、ビタミンやミネラルの吸収を促す酵素がほとんど含まれていないので、テロメアには良い影響がないとされており、とくに肉を直火で調理したメニューや焦げた部分を食べるのは極力食べるのを避けた方が良いかもしれません。酵素が多く含まれる生野菜や果物などを食べる時も、最低限食べる前に水洗いすることが必要で、できる限り農薬が使われていないオーガニックの有機食物を買うか、自家栽培するのが良いのではないでしょうか。
一方、食生活以外に普段の生活を送る上でテロメア短縮につながりやすいと言われることは、市販の石鹸、シャンプー、化粧品などパーソナルケア製品や、台所用・掃除用洗剤、塗料などを使うことで、これらの製品の多くには「化学物質」が含まれています。この化学物質のなかには、人体に害を及ぼす成分が含まれているケースがあり、そのことが非常に問題になっているのです。それは例えば、日用品で使用される有害化学物質や、家庭用塗料の成分であるカドミウム、鉛、ベンゼンなどがあります。
たしかに、店頭に並ぶ前の段階で、人体に悪影響を与えない成分が含まれていることはチェックされているようですが、重要な点は経年的な追跡調査研究が行われていないことで、長期的に対象製品を使用した場合にどのくらいの悪影響を人体に及ぼすかが調査されていないことにあると言われています。そのため、洗剤や日用品を選ぶ際は、危険な化学成分が含有されていないかを充分チェックした方が良いのではないでしょうか。
(参考文献: 細胞から若返る! テロメア・エフェクト / Elizabeth Blackburn, Elissa Epel, 森内 薫, 2017)
(参考文献: テロメア 生命の回数券 / 自由国民社,2017)
(参考文献: 老化はなぜ進むのか BLUE BACKS / 近藤 祥司, 2009)