テロメアを短くする遺伝子

現在判明している事実として、人間が生まれた時のテロメアの長さやテロメアが短縮するスピードが、遺伝子により影響されることが分かっており、両親のテロメアがそのまま胎児に引き継がれるとされています。しかも、父親よりも母親のテロメアの長さの方が強い関連性があることが知られていますが、基本的には精子・卵子双方のテロメアともに、子宮から胎児に直接伝達されるようです。

 
具体的には、妊娠中の母親が摂取する食べ物の栄養分や慢性的に感じているストレス、厳しい貧困、化学物質の暴露程度などが、直接お腹の中にいる胎児のテロメアの長さに影響を及ぼす可能性があると言われており、さらにアメリカの有名大学のエビデンスでは、高校課程を修了していない母親から生まれた赤ちゃんが、高卒の母親から生まれた赤ちゃんに比べて臍帯血のテロメアの長さが短いという調査結果があり、親の教育水準も胎児のテロメアの長さに影響を与えることがあるようです。

 
しかし、テロメアはこの世に生まれた後に普段の生活の仕方によって長くも短くもなる性質があるので、テロメラーゼ酵素を活性化させることができれば、細胞分裂時のテロメア短縮を最小限に抑え、保持することが可能になると考えられています。

 
テロメラーゼ誘導活性分子「TAM」とは..?

 
つまり、テロメアは大人になってからもずっと環境や生活習慣からの影響を受け続けるため、日々の生活の送り方や何を選択するかでテロメアの健康を維持できたり短縮を加速させたりすることになり、生まれ持った遺伝子でテロメアの長さが決定付けられたとしても、テロメアを短くするのは遺伝子ではなく普段の生活習慣であり、これが最終的な寿命を決める要因になるウエイトが大きいとも言えるのです。

 
普段から運動やエクササイズをするなどしてストレスを解消したり、様々な鮮やかで色とりどりの食べ物や有機食品(農薬や化学物質を避ける)を摂取すること、環境に優しい日用品を使うなどして、テロメアに良い影響を与えることが大切なのではないでしょうか。もちろん、ラットの動物実験でも証明されているとおり、子供時代にはきちんと子育てする母親に育てられることが、テロメアの健康維持には大切になることも考えられます。

 

 
ちなみに上図のように、生まれ持った遺伝子ではなく後天的にテロメアを短くし細胞老化を促進させる要因もすでにいくつか発見されされており、たとえば激しく怒ったり悲観的に考え過ぎるなどの心理的ストレスや、暴飲暴食、食品添加物の摂取過多、タバコの吸い過ぎ、化学物質による汚染、放射線、劣悪な住居環境などがそれにあたっています。そして、テロメアが短くなることで病気になるリスクが上がり、心血管系疾患や糖尿病などの代謝異常につながっていくとされているのです。

 

(参考文献: 細胞から若返る! テロメア・エフェクト / Elizabeth Blackburn, Elissa Epel, 森内 薫, 2017)
(参考文献: 老化はなぜ進むのか BLUE BACKS / 近藤 祥司, 2009)
 


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