テロメアの消耗を遅らせる方法として大切な要素の一つとなるのが、1日6時間以上の睡眠をとることであると言われています。
睡眠時間に関しては、人によって適切な長さが異なり個人差があるのも事実としてありますが、一般的には一晩に6時間以上眠り、睡眠の質も自己評価で良いと感じていれば、テロメア短縮のリスクは低く(テロメアの塩基対が失われる度合いが少なくなる)、余分な食欲も抑えられ、心が安定することが、アメリカの大学などが行った研究で明らかにされています。安眠を誘う「メラトニン」と呼ばれるホルモンを良く発生させるために、午前2時前までには就寝するのもオススメです。
また、ある程度高齢の方であれば、睡眠時間は7時間以上あるとなお良いと言われており、逆に睡眠の質が悪く、睡眠時間が短くて寝不足であると、それだけテロメア短縮リスクが上がり、とくに70歳以上の人たちに顕著にその悪影響が生じるようです。
それではなぜ、睡眠がテロメアの維持に深く関係してくるのかというと、脳内の視交叉上核という部分が重要な役割をしているとされています。視交叉上核が正常に機能していれば、日常生活を豊富なエネルギーがある状態で過ごすことができ、昼・夜のスイッチの切り替えなどが身体にマッチする形でスムーズに行えると言われており、その機能をうまく働かせるために適度な睡眠が必要になってくるのです。
また、睡眠時間を十分とることで、神経間の伝達や新しいニューロンの創生ができるようになり、結果としてCD8細胞などの免疫細胞に存在するテロメアを保護し免疫の働きを活発化させます。そして、免疫機能が良い状態であると、テロメア短縮を引き起こす原因因子の多くをカットしてくれるというわけです。
(参考文献: 細胞から若返る! テロメア・エフェクト / Elizabeth Blackburn, Elissa Epel, 森内 薫, 2017)
(参考文献: テロメア 生命の回数券 / 自由国民社,2017)
(参考文献: 老化はなぜ進むのか BLUE BACKS / 近藤 祥司, 2009)