Q.テロメアの長さを調べることはできるのでしょうか?
A.日本や海外の医療機関で行われているテロメア分析で調べることが可能です。
1. 日本でテロメア分析サービスを提供している機関
現在、世界的に大きな注目を集めているのが、慢性疾患や早期診断を可能とする血液検査による「テロメア分析」です。テロメア分析は、癌などの様々な病気の将来的な状態予測を可能にするため、世界中の医療関係者から期待がもたれている検査の1つとなっていますが、日本国内では、2012年9月に設立された広島大学発のベンチャー企業「株式会社ミルテル」が提供している遺伝子テスト「ミルテル検査」(予防検査)が有名です。
こちらのサービスは、テロメアの長さを測定することにより、「遺伝子の強さ」と「遺伝子の疲労度」を判定し、今までの生活習慣によるテロメアへの影響度合いと、現時点での健康状態を確認できる検査となっています。
2. 海外でテロメア分析サービスを提供している機関
一方海外では、「defytime Science Japan」が推進するテロメア分析(Telomere Analysis Technology)がとくに知られており、当サービスでは、平均的なテロメアの長さを推測するだけでなく、全てのテロメアのヒストグラムを取得して、短くなったテロメアを染色体ごとの割合も含めて総括的に評価する方法が採用されています。また、すでに膨大なデータから加齢関連疾患のリスクを階層化するなど、適切に評価するアルゴリズムを持っています。
テロメアの長さを決定する要因には、大きく分けて「遺伝的要因」と「環境要因」の2つがありますが、一部の遺伝的な要因はあるものの、多くは個人のライフスタイルによる「環境要因」が大きく影響します。そして「defytime Science Japan」によるテロメア分析では、その環境要因を運動(Exercise plan)、栄養(Nutrition plan)、喫煙等の習慣改善(Modify & Monitor)、ストレスチェック(Stress management)に分けて、患者さんごとに見合った要因を改善するためのプログラムが組まれます。
1. 医療機関で採血
2. 専用キットに入った血液を分析センターへ送付
3. 分析センターで白血球からテロメア分析を行う
4. 分析センターより分析結果がフィードバック
5. 環境要因改善の為に最適化されたプログラムを構築
6. 医師による分析結果説明
上記の順番で検査が進行しますが、具体的な流れとしては、まず医療機関で8ccの血液を採血して専用キットに入れ、分析センターでその専用キットの中から10万個の白血球細胞を特定してすべてのテロメアの長さを計測・解析します。その後、分析センターから結果がフィードバックされますが、その時に現時点でのテロメアの状態や長い物・短い物の割合、本質的な生物学的年齢の評価などが写真付きレポートで届けられます。
分析センターは、スペイン国立がん研究センターのスピンオフとして2010年に設立されたライフ・レングス社(LIFE LENGTH, S.L.)にあり、同社は染色体レベルでテロメアの長さを個別に測定する技術を持つ世界で唯一の企業で、細胞老化、個体の加齢、加齢関連疾患にとって重要な評価法を提供しています。また、製薬、栄養補助食品、バイオテクノロジー産業などにおける製品研究開発部門に対してだけでなく、テロメアを生物学的年齢や健康全般の指標として活用しているクリニックやドクターを通じて、一般検体においてもテロメア測定サービスを提供しています。
ちなみに、テロメア分析のビジネスには規制が少ないため、営利目的でテロメア診断を行う企業が多く存在しており、正しい手法で正しく診断を行っているのか、リスク査定は正確なのかなど企業側でしかわからない部分が多くあります。とくに偽物のテロメア測定の場合は、身体のほんの一部分の細胞からテロメアを取り出して測る手法(唾液など)が行われていますが、統計的に身体全体のテロメアの長さを測定出来るかと言えばそれでは不十分な面があります。そのため、身体全体の細胞を収集して、身体全体のテロメアの長さを1つ1つ測定することができるライフ・レングス社のサービスの利用をオススメします。
また、テロメアの長さは数ヵ月単位で変わると言われており、テロメア検査をすることで健康状態や寿命・余命の傾向が統計的、確率的に分かるといっても未来を絶対的に予測するわけではない点は注意が必要で、あくまで検査の結果は参考程度にとどめる方が良いと言えるでしょう。大切なことは、テロメアに良いと思われることを可能な限り多く実践して努力し続けることで、実際どうなるかは自分次第な面があるようです。