Q.テロメアを伸ばすとガンやうつ病は治りますか?
A.テロメアの長さと病気には、ある程度関連性があることは分かっています。
1. テロメアを伸ばすと”ガン”は治るのか
現代の医療研究では、テロメアが短いと「ガン」に罹患するリスクが高くなることが分かっていますが、それを裏付ける有名な調査研究として、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のマリー・ウォーレイ(Mary Whooley)博士が60歳以上の780人を4年間追跡した「安定期冠動脈疾患外来患者調査」などが知られています。また、アメリカ・ユタ大学の遺伝学者リチャード・カーソン(Richard Cawthon)博士が143人を15〜20人にわたり追跡した研究では、年齢を重ねることによって短くなったテロメアが、「ガン」など様々な病気を引き起こしやすくする一因となることが証明されています。
そのため、テロメアが伸長すれば「ガン」が改善する、あるいは「ガン」を予防できるという極端な考えが生まれるのは自然なことかもしれませんが、ガンの原因は何も老化の進行による「テロメア短縮」だけではなく、十分なミネラル・ビタミン・酵素の不足、あるいは三大栄養素の過剰摂取(カロリー過剰摂取)、酢の物不足による流れの悪い血液状態、糖分過剰摂取による血糖値上昇、合成化学成分による体内破壊、酸化ストレス(活性酸素)による細胞傷害、慢性的な心理的ストレスなど、主に普段の食事や生活習慣、心理的状況の悪化による原因を数えきれないほど挙げることができます。
ですので、テロメアの伸長に注目するのではなく、上記のような「ガン」の原因となる複合的因子を日常的にチェックし、老化の進行を遅らせるような生活をすることによって、自然と様々な病気になる頻度・確率が低下する、あるいは病気の予防策や改善策につながることが考えられます。
なお、食生活、生活習慣、心理的状況に関するそれぞれの詳細については、下記ページをご覧ください。
2. テロメアを伸ばすと”うつ病”は治るのか
欧米の研究機関で行われたいくつかの研究から、「テロメア短縮」と「うつ病」が何かしら関連している可能性が示唆されています。具体的には、うつ病の患者は、脳の中でうつ病に非常に深く関わる領域である「海馬」のテロメアに短縮が見られており、大きなストレスや不安感を用量反応的に感じることによって、テロメアが早期に短くなっていくと考えられています。
実際に、ストレスが多い環境に置かれたラットを研究した結果、ラットの脳の「海馬」でテロメラーゼの減少が見られ、また脳内ニューロンの新生も減少したこと、さらにうつ病を発症しやすくなったことが確認されています。一方、「海馬」でテロメラーゼが増えた場合は、脳内ニューロン新生が増加し、うつ病の症状も抑えられたという研究結果が報告されており、脳細胞の老化がうつ病の原因の1つになっているという仮説も注目されているようです。
しかし、うつ病の人はテロメアが短いものの、免疫細胞内のテロメラーゼはむしろ多く存在しており、これはテロメア短縮を食い止めて回復させようとテロメラーゼが通常より多くなっていると言えるかもしれません。