Q.テロメアの長さを固定化する技術はありますか?
A.現代医療では、まだそのような技術は発表されていません。(2021年5月時点)
テロメアの長さは、主に人体内の幹細胞で発現される「テロメラーゼ」によって決められることが医療臨床研究で分かっており、現時点ではテロメアの長さを一定ライン以上で維持し続けるために必要なものがテロメラーゼということになります。そのため、テロメラーゼの発現状況を人為的にコントロールできれば、テロメアの長さを固定化することができるかもしれませんが、現代医療ではまだそのような技術は発表されていません。
また、テロメラーゼ酵素を注射するなどの遺伝子操作を行うことで、テロメアの長さを伸長させたり元の長さに戻したりすることができる可能性は考えられますが、アメリカを中心とする先進医療においてもいまだ研究やエビデンスの量が少なく、人道的な課題も指摘されている状況です。そして何より、無理にテロメアの長さを伸長させるなどのコントロールを加えると、ガンに罹患するリスクが増加したり、その他危険な作用をもたらす可能性がある点も注意が必要ではないでしょうか。
なお、テロメラーゼを発現する「幹細胞」とは、様々な種類の細胞に分化する能力を持つ木の幹のような根源的細胞のことで、「ES細胞」や「万能細胞」と呼ばれることもあります。ガン細胞と同じく、唯一老化しない細胞の1つとしても知られ、この細胞を人工的に作成したものを「iPS細胞」と呼びます。