Q.テロメアを伸長する遺伝子治療を日本で受けることはできますか?
A.現在、日本で合法的に遺伝子治療を行う医療機関はありません。(2021年5月時点)
近年、先進各国を中心に世界中で研究されている西洋医学の施術法に「遺伝子治療」がありますが、とくに欧米で大きな注目を集めているのが、寿命を延ばすとされる遺伝子治療です。この遺伝子治療については、2012年にスペインの研究グループが行ったマウス実験が行われ、マウスの寿命が20%も延長したという臨床結果が報告されています。また、同様の遺伝子治療を実際に人体で実験した症例もアメリカで存在しています。
寿命を延ばすとされる遺伝子治療を受けたのは、アメリカ合衆国のワシントン州シアトルを拠点とするバイオ関連企業「BioViva USA」のCEO(最高経営責任者)であるエリザベス・パリッシュ(Elizabeth Parrish)さんです。彼女は、アメリカの遺伝子治療に関する法律上の規制を回避するべく、2015年9月に南米コロンビアの某クリニックで、当時の為替レートで約1億円の施術費用がかかるアンチエイジング遺伝子治療を受けましたが、この施術により生物学的な細胞年齢が20歳若返ったと発言しています。
また、治療方法については、テロメラーゼ酵素を生成する遺伝子組み換えウイルスの静脈内注射と、筋肉成長を妨げるミオスタチンを阻害するフォリスタチンの筋肉注射が行われたとされており、2016年3月の血液検査において、白血球のテロメア値が「6.71kb」から「7.33kb」に延長したと報告されていますが、術後経過が学術誌に発表されることはありませんでした。
理由の1つとして、学術的にテロメアが長いことが健康であると断定できるだけのエビデンスがまだ十分ではなく、たとえば心血管疾患はテロメアの短縮、ガンは長いテロメアと関連しているなど、テロメアの長さと症状・疾患の相関関係が一定していない現状があることが挙げられているようです。また、「BioViva USA」のCEO(最高経営責任者)という立場で、アメリカのFDA規制で許可されていない人体実験による臨床試験を強行したことにより、同社の科学諮問委員を務めていたワシントン大学名誉教授のジョージ・マーティン(George Martin)氏が辞職することになりました。
なお、術後最初の血液検査から2年後の2018年に同様の血液検査を再び行った結果、白血球のテロメア値が「7.33kb」からさらに「8.12kb」に延長したと言われており、3年間で約30歳も細胞年齢が若返ったことが報告されているようです。