Q.テロメアの長さが長生きできるかどうかの指標になるのは本当?
A.テロメアの長さが長い人ほど、長生きであることが分かっています。
テロメアは、1939年にバーバラ・マクリン・トックとハーマン・J・ミラーによって発見された物質で、ギリシャ語で「末端」を意味するテロス(Telos)と、「部分」を意味するメロス(Meros)の2つの言葉を組み合わせた名前のとおり、各細胞の遺伝情報が詰まっている染色体(DNAとタンパク質の集合体)の末端にある粒子のことを言います。
テロメアの長さは、細胞分裂が繰り返されることによって少しずつ短くなり(つまり老化が進む)、テロメアの完全消失が各細胞の分裂が永遠に終了するサインとなって、その後人は死に至ります。そのため、各細胞のテロメアの長さが長いか短いかが、今後その人が長生きができるかどうかを知ることができるバロメーターになっており、現在では基本的にテロメアの長さが長い人ほど長生きであることが分かっているのです。
しかし、元々長いテロメアを持って生まれた人であっても、生活環境が悪さや日々の食生活の乱れ、極度の睡眠不足や精神的なストレスを感じ続けるようなライフスタイルを送っている場合、「活性酸素」の発生などによりテロメアの短縮速度が速くなると言われているので、テロメアの長さよりもテロメアが短くなる速度を遅くして細胞の老化を遅らせることが、すなわち長生きするかどうかの指標になりやすいと言えるようです。
また、1985年にアメリカの分子生物学者だったエリザベス・ブラックバーン(Elizabeth H. Blackburn)の研究室で行われた繊毛虫類に属する「テトラヒメナ」の研究により、「テロメラーゼ」と呼ばれる酵素が発見され、現在ではこの酵素が短縮したテロメアの長さをある程度修復する働きがあることが分かっており、骨髄や上皮細胞など再生系組織などにわずかに存在するテロメラーゼを様々な方法で十分に働かせて、細胞分裂の回数を極限まで長くするような研究が続けられています。
(参考文献: 細胞から若返る! テロメア・エフェクト / Elizabeth Blackburn, Elissa Epel, 森内 薫, 2017)
(参考文献: テロメア 生命の回数券 / 自由国民社,2017)
(参考文献: 老化はなぜ進むのか BLUE BACKS / 近藤 祥司, 2009)